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アレルギー

医者の当たり外れ問題

水妖の森小児病院の特殊性を描いた名作「水妖の森」には、

「今日の当直、〇〇先生だからはずれ~」

という親同士の会話を医師が耳にしてしまうシーンが出てきます。

ごぞんじありませんか? 2003年に私が書いた幻の小説です。
ただいま絶賛絶版中ですが、まだ手元に悲しいほどありますので、興味のある奇特な方はサイン入り、定価の半額以下(税込み700円)、送料無料でお送りしますので、お問い合わせください。

さて、こんな話題を持ち出してきたのは、医者や医療機関に主に医療情報を提供するサービスMedical Tribuneで、現在ある記事が話題になっているためです。

今のアレルギー診療は"くじ引き"状態?!

衝撃のタイトルもさることながら、記事の内容に臨床医たちから悲鳴のようなクレームが殺到しています。

つい、最近話題になったJALの医師登録のニュースもそうですが、大勢の人のリテラシーを高めて医療格差をなくすつもりが、結局多くの医療者、そして医療の消費者のモチベーションやきっかけをむしろ奪って医師しまうことが多いように思います。
もちろん私たちは効果がないばかりか危険ですらある代替医療に手を出してしまう患者さんを最小限にしたいし、良質な医療を快適に提供するべく、日夜勉強に励んでおります。

medical tribune飛行機で、「お医者様はいませんか?」と叫ぶCAと苦しむ乗客の前に手を上げるのが医者として正しいのかそうでないのか、という議論自体が、未だに「叫ぶ」という方法を取っていること以上に、いくらか時代遅れだと感じます。

現代、人間の行動のメカニズムがこれほどあきらかになっているのに、その結果とはほどとおい行動マネジメントが医療で行われているのは幼すぎませんか。

記事の中にはこんなエピソードが登場します。

メディアによく取り上げられる「脱ステロイド療法」を受けたアトピー性皮膚炎の男性は,皮膚症状が徐々に悪化。

「仕事がストレスなので,奥さんが代わりに働けば良い」

と指導された。男性の症状はさらに悪化したため,不安になった妻が同団体に相談し,皮膚アレルギーの専門医を紹介された。男性は「カポジ水痘様発疹」で入院加療が必要と診断された。
主治医に「適切な治療でどんな過酷な仕事でもできるようになる」と言われ,スキンケアや標準治療を受け3週間で回復し退院した。
今は新たな仕事を頑張っているとのことだ。
 
最後の一文にはほっとしましたが、脱ステロイドの是非は置いといて、これを読んで思い出したのは、2004年、医者をやりながら一般の人々に医療リテラシーを浸透させる会社を起こしたくて、江東区役所の中小企業診断士による無料起業相談を受けたときのことです。
起業した何がしたいのか、予算がどれだけあるのか、具体的な計画は? などの質問を一切されず、準備した資料にも目を通さず、おっさんは言いました。

「もう30過ぎているんだし、会社より、子供でも作ったら?」

確かに全人的な医療は必要、重要、私は生涯、実行することを誓います、が、行政に限らず、どんなサービスもすべて、全人的にサービスするのが当然だと思います。

健康食品の「 before, after and after 」

夜中の通販などで、よく、使用前使用後の映像が流れますよね。
あれは、使用後だけでなく、使用後そして使用を続けたその後、みたいなものをたたみかけるのが一番宣伝効果があるそうです。
昨日、石川善樹先生に教えてもらいました。

確かになんとなく想像できませんか。

貧乏でモテなくて不潔で暗かったオレが、ハッピーストーンを身につけてから、宝くじに当たり、彼女ができた、というところまではアフター前半で、その後、起業し、社会的責任まで果たし、家族は増え一族幸せにやっています、みたいに、幸せのレベルというか次元が変わっていくんです。

ただ幸運になるだけじゃない、ただ痩せるだけじゃない、ただ入れ歯が外れにくくなるだけじゃない、それは単なる一歩で、最終的には幸せな、満たされた、みんなの幸せが待っているんだ、与える側にさえなれるんだって感覚、誰でも期待しますよね。

嘘はいけませんが、ある程度の誇大広告はいいような気がします。
パワーストーンが何をするわけじゃなくても、パワーストーンを手にしたオレにはできるはず、っていう思い込みが、彼になにをか可能にすることは充分あり得ます。

話が逸れまくっているようではありますが、アレルギーがあるから働くな、女だから働くな、っていうアプローチでは治るものもならない、うまくいくものもうまくいかないと思います。

確かに今は症状がありますが、きっと楽しく働けますから、一緒に努力していきましょうって、どんな医者にも言える台詞ですよね。
患者さんはきちんと説明されて期待されて役割を与えられるとものすごーくがんばります。

いや、患者さんより、医者のほうがもっとその傾向が強いんです。

ハズレだと思われたらどうしよう・・・・・・って不安だってあるんです。

そりゃあ、トレーニング中よりベテランの先生のほうがテクニックがあるのは当然ですが、医者を育てるのは患者です。

医者も患者もbeforeは今の状態、afterは症状が抑えられた状態、そして次のafterはできなかった行動がどんどんできて、積極的に幸せな人生を手に入れる状態を提示して、目指しながら、ともに歩いて行きたいです。

医療にはそれがなくて、代替医療にはそれがある、それだけな気がします。

喫煙問題もそうですよね。
禁煙のメッセージにはまじめぶった説教臭さや役所の堅苦しさしかないのに、タバコのCMはスタイリッシュでクリーンで、かっこいい。
そりゃあ、若者は政府のキャンペーンがつまらなければつまらないほど、かっこよく喫煙します。

非医療者がリテラシーの不足で無効どころか有害な商品やサービスに手を伸ばす前に、せっかく皆保険・フリーアクセスなんだからちゃんとした医療機関を訪れてほしい、って本気で思うんだったら、もっと魅力的にキャンペーンしなきゃね。

さて、本題に戻って、記事全文を掲載しますね。

2月3日,第1回アレルギー疾患対策推進協議会(会長=国立研究開発法人国立成育医療研究センター副所長・斎藤博久氏)が開かれた。2015年12月25日から施行されたアレルギー疾患対策基本法で設置が定められた組織。
今夏をめどにアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るための基本指針を取りまとめる。
今回はアレルギー疾患を取り巻く主な課題が取り上げられた。

「患者にとって,今のアレルギー医療はたまたま受診した医師で人生が大きく左右されることがある"くじ引き"のようなもの」とのコメントも聞かれた。

 アレルギー疾患対策基本法は2014年6月に議員立法により制定され,昨年12月から施行された。アレルギー疾患患者が国内で急増していること,最新のガイドライン(GL)に沿った標準治療での予防や症状の管理が可能になっているにもかかわらず,適切な医療の提供が行われていないことなどが制定の背景にある。
 
 この協議会では同法に基づき,厚生労働相が策定するアレルギー疾患対策基本指針に関する意見を取りまとめる。今回は厚労省,アレルギー疾患患者や家族の団体,自治体の代表らが同疾患を取り巻く課題について説明した。
 
 事務局の厚労省によると,2005年には国民の約3人に1人がなんらかのアレルギー疾患(喘息,花粉症,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー)に罹患していると推計されていた。しかし,2011年には約2人に1人と急速に増加。アレルギー疾患により医療機関を受診する患者の数も年々増加している。
 
 医療の進歩により,アレルギー疾患の症状コントロールが可能になり,喘息死は年々減少しているものの,2014年時点においても1,550人が喘息で死亡。食物アレルギーに起因するアナフィラキシーによる死者は2002年に一度ゼロとなった以外は,年に数例ずつ発生し続けている。アレルギー疾患の患者数に全国的なばらつきはないが,人口当たりのアレルギー科常勤医の数には偏在が見られるといった問題も指摘されている。
 
 アレルギー対策には厚労省,農林水産省,環境省,文部科学省などの省庁が関わっているが,どのような領域でどのような予算措置の対策が行われているのかも,基本方針の策定に向け整理されていく見通し。
 

「困った患者,重い患者にプロとして対応を」

 
 NPOアレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」代表の栗山真理子氏は,アレルギー疾患を持つ小児や親が安心して生活できるための社会基盤の整備を目標に掲げ,厚労省や文科省,内閣府食品安全委員会などでGL策定にも関わってきた。「患者は当事者として"してもらう"だけでなく,一緒に考え行動する」ことが重要との考えを示す。一方,患者が最も困っている点として専門医と実地医家の治療格差を挙げ「これは医療を提供する側の問題」と指摘する。
 
「患者の自己管理が悪い,医師の言うことよりインターネットを信じるなど,患者側の問題も十分承知している。しかし,困った患者やなかなか良くならない患者がいれば,プロの医師として次のプロに紹介し,回復のチャンスを逃さないでほしい」と訴えた。そして,「エビデンスに基づいた最新のGLに沿った情報提供や治療が適切に行われれば,アレルギー疾患のかなりの症状はコントロールが可能なのではないか」とアレルギー治療の均てん化に向けた取り組みの重要性を強調した。
 

脱ステロイドでカポジ水痘様発疹,血液検査で十数種類の除去食を指示...

 
 アレルギー治療の均てん化が進まないために患者や家族に何が起きているのか。実際の事例を紹介したのは,NPO法人「アレルギーを考える母の会」代表の園部まり子氏。「患者にとって今のアレルギー医療は"くじ引き"のようなもの」で「たまたま受診した医師で人生が大きく左右されることがある。さらに,受けている治療が適切かどうか患者や保護者自身が分からない。この2つが大きな問題」と述べた。
 
※心陽注 均霑化(きんてんか)とは、「生物がひとしく雨露の恵みにうるおうように」という意味です。
 誰も知らない言葉だと思いますが、この記事もそうですし、本年度に出された厚労省からのお達しにも用いられています。
 なんでしょうか、そんなに「あたまいい」って思われたいんでしょうか。
 「イケてない」って思われてもいいんでしょうか・・・
 
 日本でもアドレナリン自己注射薬(商品名エピペン)の承認や,オリンピックで活躍する選手の10人に1人が喘息患者とも報告されるようになるなど,アレルギー疾患を取り巻く状況は着実に改善している。しかし,一般社会では最新の情報が必ずしも普及していない。同氏らの元には「喘息の男子高校生が夜になっても帰宅せず,翌朝学校のトイレで吸入器を口にくわえたまま亡くなっているのが見つかった。幼少時から喘息をからかわれ,高校でも喘息のことを友人や先生に知らせず,トイレに隠れて吸入薬を使用していたと分かった」「夜間当直の救急隊員がベッドの中で喘息死。医師から吸入薬を処方された際に"あまり使うと危険"と言われ,発作が起きても我慢して使用していなかった」といった事例が多く寄せられている。「こうしたケースには最重症の患者は含まれていない。年間に亡くなっている1,000人を超える人の一部」(同氏)。
 
 他にも,最新のGLに沿った情報提供や治療が行われていないために,なかなか症状が改善しない患者が医療不信となり,安全性や有効性が確立されていない民間療法など「違うところ」に行ってしまうケースもあるそうだ。メディアによく取り上げられる「脱ステロイド療法」を受けたアトピー性皮膚炎の男性は,皮膚症状が徐々に悪化。「仕事がストレスなので,奥さんが代わりに働けば良い」と指導された。男性の症状はさらに悪化したため,不安になった妻が同団体に相談し,皮膚アレルギーの専門医を紹介された。男性は「カポジ水痘様発疹」で入院加療が必要と診断された。主治医に「適切な治療でどんな過酷な仕事でもできるようになる」と言われ,スキンケアや標準治療を受け3週間で回復し退院した。今は新たな仕事を頑張っているとのことだ。
 
 血液検査だけで,十数種類以上の食品の除去を医師に指示されていた3歳児の例も紹介された。このケースでは,日々の厳しすぎる食事制限のために子供も母親も心身ともに疲弊し,痩せ細ってしまった。この小児も,紹介先の医療機関で,ステロイド外用剤や院内でのプリックテストに基づき除去すべき食品と摂取しても大丈夫な食品を慎重に判定されるなどの標準治療を受け,肌の状態も普通の子と変わらない状態で元気に過ごせるようになった。
 
 学校での事例も多数あると同氏。アレルギー疾患児のエピペン携帯を「危ないものを持ち込むな」と許可されなかったり,アレルギー対応の相談すら「忙しい」「お宅の子のために苦労している」と受け付けてもらえなかったりするなどの相談も多いそうだ。
 
 こうしたアレルギー疾患を取り巻く多くの問題を解決するために同氏は「指針には医療の均てん化や社会基盤の整備を盛り込む他に,目標を設定した上で定期的に評価,見直しを行うPDCAサイクルの導入」が必要と提言した。
 

自治体も頭抱える「研修開いても来てくれない」

 
 川崎市健康福祉局医務監の坂元昇氏によると,自治体のアレルギー対策はもともと公害対策から派生しており,全国で小児喘息への医療費助成制度が行われている特色がある。そのため,他のアレルギー疾患対策との不公平感が指摘されるようになっているそうだ。また,自治体によってはアレルギー疾患対策を保健福祉や環境関連など複数の部局が管轄し事業が重複している,医療専門職が不在のところもあるなど,実施内容にもかなりの温度差が生じている問題を指摘した。
 
 自治体には医師など医療職へのアレルギー疾患に関する研修を行う役割もある。しかし,医師会と共催で研修会を開催しても医師がほとんど集まらない。「医師向けの研修参加に対するインセンティブもなく,強制力もない。多くの自治体が苦慮している」(同氏)。
 

「患者が集まる」とアレルギー科標榜を奨める

 
 さらに市民から自治体への診療機関に関する問い合わせにも十分対応できていないのが現状と同氏。現時点では「アレルギー科」の標榜は可能だが,専門医の標榜は許されていないためだ。この点については栗山氏からも「"今アレルギー科にかかっているのですが"との患者からの問い合わせで,実際の治療内容を聞いて驚くこともある」といったコメントがあった。
 
 国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長の海老澤元宏氏は「アレルギー診療を専門医だけで担うのはとても無理。一般医家との連携は非常に重要だ。一方で,一部の開業コンサルタントが"集客に役立つから"とアレルギー科の標榜をアドバイスしているとも聞く。今回の話を聞いて,開業の際に学会として研修の機会を提供するような取り組みも必要かもしれないと感じた」と話した。
 
 この他にも,アレルギー疾患患者の長期予後を検討する縦断研究や,標準治療から外れた,生命の危険を与えかねない治療に関する情報提供が必要といった意見が出された。今後は関係者からのヒアリングを交え指針案作成に向けた議論が継続される。
 
(坂口 恵)
 
これから怒濤のように続く医師たちからのコメントの中にも多く見られるのですが、そもそも日本の標榜制や専門医制が実体を伴わすぎます。
医師免許さえ持っていれば、生まれてから一度もメスを握ったことがなくても「外科」を標榜できます。
専門医の試験で重視されるのは学会への参加(支払い)具合とペーパーテストの点数です。
大学医学部の偉い人になるために必要なのは、マスターベーションやパクりの横行する論文です。
それらの称号を得るために臨床をおろそかにするのはほとんど常識になっています。
医師たちからも多く政策の不備という声が上がるのですが、やはり本当にまともな人がふつーに得をできる制度は重要ですよね。
 
「たまたま受診した医師で人生が大きく左右される くじびきのようなもの」といったやつは誰だ。
(心陽注:NPO法人「アレルギーを考える母の会」代表の園部まり子氏です)
医者か、官僚か?こういう言葉を聞くとアレルギーに限らず、地域医療をやっている者にとっては、モチベーションががた落ちする。専門受診指示に従う患者はいいが、そうでない患者は見ざるを得ない。日本全国どこでも多様な疾患の専門医が、いつでも受診できるとは限らない。
そもそもアレルギーとひとからげに語ること自体がすでにおかしい、まずは致死性であるアナフィラキシー、予防できる食物アレルギーをメインとして一般市民に啓蒙することがまず第一に重要である。ところがハチアナフィラキシーなどは、蜂さされだけですぐに来院。過度に心配し過ぎる傾向があり、正確な情報が伝わっているとは思えない。これは行政の責任です。」
 
まれにみるまじめな話題での医師コメント数の多さで、医師の中にもちゃんと意見を述べられる人がいるのだなあ、と嬉しい限りですが、コメントの数々にもあるとおり、これはけっしてアレルギーだけの問題ではないはずです。
NICEを真似たQALYベースの費用対効果を含むガイドラインと診療報酬を策定するなんて、かっこいいことばかり言ってますが、目の前のフツーのビョーキで困っているフツーの人たちへの対策が先ですよね。
 
ストレスがあるから仕事をするな。 って言うけど、仕事をすると生きるって、さほど遠い意味ではないと思うんですよね。
仕事が生きがい、仕事のために生きる、私はそうです。
「生きろ、しかし、働くな」なんて医療指導がありえるんでしょうか。
すべての病気に休養は有効ですが、せめて、「一時的に休養しろ」と言ってくれれば、希望が持てます。
復職したいから受診して治療するのです。
痛みなど、働けない症状があるから、それをコントロールしたいと思うんです。
症状ではなく、症状のためにできないことが問題なんです。
 
日本のアレルギー性鼻炎全体の有病率は約4割であり,その3主徴の一つである鼻閉は,患者のQOL(quality of life)を著しく低下させます。
アレルギー性鼻炎患者のQOLは健常者と比較して有意に障害されており,鼻閉の症状は睡眠に対して鼻水やくしゃみよりも大きな影響を及ぼしています。
 

アレルギーによる医療費以外の損失は4兆5567億円

アレルギーによる損失
 
鼻閉が間接的にもたらす経済的影響について労働生産性の低下と睡眠障害が関係する交通事故による経済的損失に注目して試算した結果,鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎患者の労働生産性の低下による経済的損失は日本全体で年間4兆3,966億円,睡眠障害による交通事故に係わる経済的損失は年間1,601億円,合計で4兆5,567億円(医療費は含まない)であると推計した。
 

 

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