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インフルエンザ

有給休暇で会社が儲かるエビデンス

Potential Economic Benefits of Paid Sick Leave in Reducing Absenteeism Related to the Spread of Influenza-Like Illness

インフルエンザ有給休暇経済効果という私の大好物ネタばかりを扱ったすばらしい研究が発表されました。

序文と考察を読むだけでもすごく楽しいので、健康経営に興味がある方に猛烈にお勧めです!! (しかも全文閲覧可能)

職場でインフルエンザが流行してしまうことによるアブセンティーイズムを有給休暇ありとなしの場合で比較したものです。

アブセンティーイズムは会社に従業員がいない(休んでる・勤怠表上欠勤)ってことで生じる企業のコストです。
詳しく解説させていただけるなら、いつでも御社にお邪魔します。

有給休暇こそがアブセンティーイズムの元、って浅く考えてしまう経営者が多いのかもしれませんが、この研究によると、有給休暇があることでコストが削減できるという結果が出ました。

世界の有給取得率

どれくらいコストが下がるかというとアメリカ全体で 
 年間6.3~18.8億ドル です。

びっくりしませんか? とゆーか全然ピンとこないと思いますので、2016年末の全米就業者数の1億5,000万人で割ってみると、42~125ドルです。つまり、一人当たり4,870~14,500円くらいですね。この就業者数は勤労所得または自営所得を有する者の数なので、調査対象より大きな数ですから、この額以上なんだなあって思ってください。非農業部門雇用者対象数が4,700万人程度ですからね。

ちなみに調査の背景には有給休暇制度のお国柄の違いがあります。

日本では労働基準法第39条にしっかりと有給休暇の支給義務が定められています。
日本の有給取得率の低さを論じる際に、必ずと言っていいほど、
「休みを取るのが心苦しい(罪悪感)」
という従業員のメンタリティーが指摘されるんですが、むしろ会社のコンプライアンスを高める行為なので、長時間労働の減少と同様に会社のためになるんです。会社に貢献したいと考えるマジメな従業員こそ、積極的に有休を取得するべきなんですよ。

有給を知らない率

労働時間は各社員レベルでなかなか調整するのは難しいかもしれないけれど、代休や振休で調節せず、有給休暇をどんどん取って、取得率を上げることも、会社への貢献になるんです。

労働時間の削減で貢献できなくて悪いな~、本当はもっと会社に貢献したいのに~~~と考えるマジメなあなたは、せめて有給を取得してあげましょう。

日本の有給取得率はとても低いのですが、付与日数もとても少ないんです。1988年の労働基準法改正により、最低6日から最低10日に引き上げられても、世界最低水準です。100%取得しても世界的には充分働いています。

米国では有給休暇に関する法的拘束はありません。休暇に関する法律だけを見ると、日本は世界でも非常にすばらしいということは、生理休暇についてのコラムでも書きました。
 
休暇先進国であるフランスの有給休暇に関する法を参照すると、1930年代には全ての労働者が毎年連続2週間の有給休暇を付与される、通称「バカンス法(正式名称:マティニョン法)」と呼ばれる法律が定められていました。それ以後、有給休暇の付与日数は時代を追うごとに増え、1982年に現在の水準である年5週間の有給休暇を、さらに連続12労働日を超える長期有給休暇を1年に1度以上与えることが定められ、企業の側に有給を計画的に取らせる義務もあるのです。
 
flu @ work
日本と北米を除いたすべてのOECD(経済協力開発機構)加盟国では、最低でも20日間の有給休暇付与が定められています。
ポルトガルやオーストリアにいたっては35日間です。
国際労働機関(ILO)によって1970年に採択されたILO第132号条約で、労働者の有給休暇は、1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)以上とされていますが、日本はこれを批准していません。ちなみに、世界の働き方を提言するILOの189条約のうち、日本が批准しているのはたった26%足らずの49条約です。
労働時間に関するILO条約を一つも批准せず、WHOからは女性が奴隷のように扱われていると警告され、「KAROSHI」が外国でも通じる、そんな国が日本なんです。
 
シッコ
ドイツでは6週間までの病欠のみを対象にした有給休暇がが認められています。
デンマークでは病欠期間中、最大120日間まで100%の給料もしくは手当の支払いが定められています。
オーストラリアでは従業員本人だけでなくその家族の看病や緊急事態に対する有給病気休暇まで用意されています。
有給の病気休暇を取り切ってしまった後は無給病気休暇としてさらに2日間会社を休むことも可能です。
この辺、各国の労働の違い、医療の違いはいろいろな資料がありますが、私は以前も触れた映画、「シッコ」をお勧めします。
 
paid time off
アメリカでは法規制がありませんが、年間で10日間の有給休暇(paid holidays)が一般的、そのほかの休暇として、有給無給は企業ごとに異なりますが、概ね2週間のバケーション、2日間の特別休暇(忌引きとか、結婚とか、宗教上の休日とか、そういう個人的な休暇)、8日間の傷病休暇というパターンが多いですね。国の法律はないのですが、州ごとの条例では有給の定めがあります。(冒頭引用研究の付表1参照)
研究で言及されている有給は最後の有給傷病休暇についての話題です。
アメリカには法規制がないといっても、半年働いて初めて10日という日本の基準、そしてその最低ラインを選択している日本企業が多いという現状を鑑みると、やっぱり日本のほうが少ないんじゃないかな~~~って思います。
休暇に対する感覚も違いますから、日本ではPSLとPTOと分けて考えるような習慣はないですよね。
 
PSL makes you healthierまた、誤解のなきように最後に強調しておきますが、この研究ではインフルエンザ及びインフルエンザ様疾患のアブセンティーイズムに限定してその価格を計算したものです。
有給休暇によって削減されるアブセンティーイズムはほかにも多くの原因がありますし、プレゼンティーイズムに至っては言うまでもなくアブセンティーイズムの10倍以上の可能性もあります。
また、研究中に引用されているとおり、そもそも有給傷病休暇を設けている企業はそうでない企業に比べて42%も多く職場での集団インフルエンザワクチン接種をしています。健康経営に関わるまともな制度を設けている企業が儲けているってなことが言えそうです。
お後がよろしいようで。

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