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健康ニュース・最新研究

チョコレートを食べて心・脳血管障害を防ごう

Can chocolate consumption reduce cardio-cerebrovascular risk? A systematic review and meta-analysis.

チョコレートの効果はこのコラムでもしつこくお伝えしているとおりです。
 

ドクターズチョコ

カカオに含まれるさまざまな成分が組み合わさって、イロイロとよい効果を発揮してくれるようです。
 
たとえばカカオに含まれるプロシアニジン、これは抗酸化力が高く、チョコレートの免疫増強効果はこのプロシアニジンの活躍によるところが大きいと考えられていますが、なんとこのプロシアニジンはC.elegans の寿命を16%も伸ばしたのです!! 16%というと、たとえば70歳で死亡するところだった場合は、11年と2ヶ月と3週間寿命が延びて82歳まで長生きするってことになります。
 

elegans

C.elegans って何かって? 線虫です。
あんまり知りたくないかもしれませんが
←こんな感じ。実験では、25℃で+16%、20℃で+11%の寿命延長が見られたけど、15℃では寿命延長作用が見られなかったそうです。もちろん、この子たちは変温動物なので、私たちがチョコレートの効果を最大限に得るためには冬より夏のほうがいいってことではありません。
 
本日ご紹介する研究はメタアナリシスです。
メタアナリシスというのは過去のいろんな研究を引っ張ってきて結果をまとめるものです。たとえば、5人の人を調べて、3人に反応があったから60%の人に効くって言われても信じられませんよね? 信じられないと信じたいけど世間の健康系のネタはこの程度で平気でエビデンス風(かぜ)をふかしているので困ります。それはエビデンスでもなんでもありませんからね。
同じように「この商品を使った方の86%が『効果がありそう』と答えています」なんてのもありますよね。14%の人が想像上ですら期待できない、きっとモニターだからただで利用したんだろうに、って私は思ってしまいます。こんなのが宣伝になるってこと自体、私たち消費者が馬鹿にされている証です。

産業医

さて、なかなか本題に入れませんので、先に進みましょう。アカデミックエビデンスとして結果を偶然ではないといえるための標本数(対象者の数、最初の例で言えば線虫の数)は計算できます。この研究で対象になっている研究たちはいろいろな基準をクリアしているので当然それぞれの標本数も多いのですが、16本の研究を集めることで、34万4,453人の人についてチョコの効果を検証することができます。ご存知の通り、研究というのはいろんなバイアスがありますから、いろんな人がいろんなところでやった同じネタの研究を沢山集めることで、その結果が偶然じゃなくて必然の可能性が高くなります。それがメタアナリシスとかシステミックレビューとか言われる研究のスタイルです。
 この研究では最初396件もの候補となる研究を集めて、あーでもないこーでもないと不適切な研究を除外していくと、図のようにメタアナリシスの対象に足るものは16件しか残らなかったんだから、やっぱり研究って手間がかかります。インチキ臭い効果がありそうかどうかのインタビューではなく、賢い人がきちんとした材料を使って手間をかけて導き出した情報が世の中に沢山あるので、そういうものを信用してほしいです。
 

心筋梗塞の90%は予防できる

予防できる病気で大切な人が亡くなると残された人の後悔は大きい

慢性疾患の予防はだいじ

今回チョコレートの予防効果を確かめたのは心筋梗塞などの心臓病(心血管障害、虚血性心疾患、心不全など言い方はイロイロ)や脳卒中(脳梗塞と脳出血によるものがある)ですが、日本人の死因のうち心臓病が15.5%、脳卒中が9.0%ですから、合わせて24.5%になり、死ぬ人のうち、ほとんど4人に1人の割合です。

心筋梗塞はその90%が予防できると言われています。

健康診断で脂質異常や高血圧を指摘されて治療を促されたり、減量や禁煙を勧められたりするのは、ズバリ心筋梗塞や脳卒中を予防するためです。高血圧や脂質異常は症状もなく普段の生活に何の支障もないので、ついつい薬を飲む習慣などを忘れるとか、医者に言われたとおりに飲まずに自己判断で飲んだり飲まなかったりするとか、せっかく予防できるのにみんなピンとこないようですが、心筋梗塞が予防できるということを大切な人を失ってから家族が知ることを想像してください。なんでもっとタバコを真剣に止めなかったんだろう、ちゃんと薬を飲ませればよかったってすごく後悔します。がんとちがって心筋梗塞や脳卒中はほとんどの場合、診断されてから家族とこれからの時間について話し合う時間がありません。

高血圧や脂質異常の治療の継続が大事だとわかった人はぜひ遠隔診療でアブセンティーイズム、プレゼンティーイズムを出さない治療をして下さい。お問い合わせは心陽へ!

チョコレートの摂取は心筋梗塞や脳卒中の予防に効果あり

最終的に16件の研究論文が採用された表題の研究に戻りますと、16件のうち、10件は欧州(5件がスウェーデン、2件がドイツ、スペイン、英国、多国籍が1件ずつ)、5件は米国、1件はオーストラリアで実施されたもので、全心血管疾患や高血圧症の発症について検討している研究が8件、心筋梗塞について検討している研究が4件、脳卒中について検討している研究が6件、冠動脈疾患について検討している研究が4件、心不全について検討している研究が4件であった。
新鮮だったのは心房細動への効果を検証している研究があったこと。なんとチョコレートの脳卒中予防効果には af を介しているものもありそう。おもしろい!! 血小板の凝集反応を抑制するので心房細動による血栓の形成を抑制するのはわかるけど、心房細動そのものも抑制するなんて生命の神秘恐るべし。と思って読んでみたら、有意な結果は出なかったので、チョコレートが心房細動を抑えるとは言えないよう。でもこの研究、おもしろいのが18,819人の男性医師で作ったUSのコホートが対象者。すばらしい。医者こそ被験者になるべき。日本でも我が国の宝、原正彦先生のハングオーバーカム試験が行なわれていて、私も生まれて初めて無作為割り付けされて薬を飲みました!! 
 

チョコ

さて、メタアナリシスの結果の図をどう見るかというと、一番右の縦の棒が1、チョコレートを食べてないとかあんまり食べてない人々の心筋梗塞や脳卒中のなりやすさだと思ってください。蛇の背骨のように並んでいる■がそれぞれの研究で出た結果、つまりチョコレートによって30%予防できるとしたら、0.7のところにプロットされていると思ってください(横軸がその数字)。■の大きさはさきほど触れた研究の対象となる人数。■を貫く横棒は結果の範囲です。
福山雅治さんとつきあいたいかどうか、1,000万人の日本人女性にきいて、つきあいたいとと思う人が60%いたとしますよね。ええ、そんなにいるの? と思う人も、それだけしかいないの? と思う人もいるでしょうけど、これはもう、「福山雅治さん、かっこいい」って言っていいだろうって感じがします。つきあいたくはないけどかっこいいとは思う、って人もいるだろうし、かっこよすぎてつきあえないって人もいるでしょう。もう結婚したから不倫になるのでNGって人もいるかもしれません。
でもA子がイマイチいけてないけど優しいところもあるから課長とつきあってもいいと思っていて、同じ課のB子は「ありえない」どころか日々、「消えてなくなれ」と思っているとして、課長のモテ度が50%、これはかなり福山雅治さんに肉薄しているのでは? とは思わないですよね。福山さんの場合は「ありえない」って人はほとんどいない(と予想される)わけです。A子にしかきかなかったら100%ですから、課長、どんだけモテるんだって話になりますが、そのあと1,000人きいて、1,000人がNOと言う可能性も大ありです。というわけで人数が小さい場合の結果が怪しいことと同様、ばらつきが大きすぎるときの結果も怪しいというわけで、横棒が長くて■が小さい結果が怪しいというと乱暴なんですが、横棒の右ッ側が1の縦棒を横切っちゃってると、予防どころか起こりやすくなる人もいるってことで、予防になるとは言えないねって話になります。で、全部の研究を総合して導き出したのが1の左横にある縦線で、16件の研究を全て足し合わせ、34万4,453人におけるチョコレート摂取の心血管疾患への効果の大きさを見ると、最も多く摂取している群は最も少なく摂取している群に対して0.71倍に心血管疾患が抑制されていた〔effect size(ES)0.71、 P=0.000〕という結果になります。それでもバラバラの研究を比べることに無理がある(出版バイアスがある)点は否めないので、さらに Funnel plot を対称にするために3件を除外して13件で検索したところ、出版バイアスの可能性も減り、結果は心血管疾患の抑制が0.77倍(ES 0.77, p=0.000)とやはり予防効果あり、となりました。

女性は特に効果あり

ドクターズチョコレート

 ただし、心血管疾患に対する保護効果を男女に分けて解析したところ、成人以降の女性では統計学的に有意な保護効果が示されたものの(解析人数15万2,342人、ES 0.85, P=0.003)、成人以降の男性では統計学的に有意な保護効果は示されなかった(同5万6,527人、ES0.84, P=0.164)。心筋梗塞は男性のほうがなりやすいのですが、いざ起こったときには女性のほうが死亡率が低いと言われています。たとえば脂質異常は男性に比べて女性では心筋梗塞のリスクへの関与度が低いと言われています。女性にとってより有意に心筋梗塞を抑制するものがチョコだっていうのは、多くの女性を喜ばせそうです。

もうすぐバレンタインデー、自分のためにチョコを買う女性が増えそうな予感です。(この論文読んだらね)
ちなみに脳出血でも女性0.73、男性0.84と女性のほうが有利でした。
 
とはいえ、いつもお知らせしているとおり、カカオだけを摂るならよくてもチョコレートの入ったお菓子にはトランス脂肪酸や、炭水化物や、砂糖という圧倒的に体によくない、心筋梗塞も脳卒中も増やす奴らが沢山入ってます。ドクターズチョコレートのような低GIチョコレートか、砂糖の入っていないココア、カカオの量の多いチョコレートを選んで、チョコレートスナックやチョコレートバーみたいなものは避けてください。と、この研究の最後にも警告してあります。

In fact, snacks with or without chocolate are very rich in sugar, saturated fat, and calories and for this reason they should be consumed in moderation.
 
 

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