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君たちはどう食べるか(1)お皿のサイズ

とうとう大好きなエッグマンの話をしてしまったからには、「食べる」という行動について、少しマジメに話題にしようと思います。

医師の推奨する食生活(食べ物や食べ方)を信用するなと言いましたが、食べ物と健康は当然、密接な関係があります。
つまり、医師と食べ物にはなんの関係もありませんが、健康と食べ物には強い関係があるということです。
少なくとも医師と健康以上に強い関係が、食べ物と健康にはあるのです。

皿の大きさは食べる量を決めるのか?

イチロー カワチ

イチロー カワチ

昨日、Facebookで、友人から、
あなたの愛するイチロー先生に言われてちっちゃい皿で食べてるのに、こんなの出てるわよ!
なんて世界のイチロー先生からのありがたいもらい事故がありました。

 
はじめてききましたが、Appetiteって雑誌の名前がいいですね!
表紙(右図)もかっこいいし、他の記事もおもしろそう!
 
若い人を被験者にして空腹時と満腹時でお皿のサイズによる錯覚の差を検証したところ、空腹時には錯覚が起こりにくいという結果が出たため、
「過去十年、飲食業界は、摂食量を減らすために少しずつ小さな皿を使用するようになってきたが、本研究はそれが有効とはいえないことを示唆している。ダイエットで空腹の時はプレートサイズに騙される可能性は低くなるのである」
と主任研究者のツウィ・ガネル教授はコメントしている
そうなんだけど、いくらなんでもこれは当たり前じゃない?
おなかが空いてるときに食べ物をきちんと判断できなかったら、あきらかに生物として不健康でしょう。
 

皿のサイズと錯覚とはいえ、ここが私のような三流とイチロー先生のような一流の差で、この研究に対するイチロー先生の反応は
「This is a very interesting study and appears to contradict what behavioral economics would predict about people’s judgments when they are in a “hot” state (eg hungry)!」
ときわめて前向き。

確かにストレス状態にあるときこそ人はシステム2を稼働して理論的な判断をしている余裕はありません。
先日、別のコラムで触れたとおり、「ハドソン川の奇跡」のサレンバーガー機長が英断から行動完結までにかかった時間は208秒でした。
行動経済学では人は熟慮して正しい選択をする生き物ではなく、感覚的で楽しくて簡単な行動に偏るものとされますが、熟慮も失敗もできない災害時などに行動経済学が利用できる可能性も大きいのですね。
話が逸れました。
 
まあ、行動経済学による健康な食行動の促進は錯覚に頼っているわけではなく、人が食べる量を正確に決めていないことを利用しています。錯覚に関してはむしろ反対の警鐘研究が有名です。有名なダイエッターのパラドクス」です。
 

お皿のサイズの歴史パラドクスは明日に回して、本日はお皿の大きさ論について説明を加えていきます。
まずは明らかに世の中の肥満率が増大していて、同時にお皿の大きが大きくなっているという事実があります。

お皿が一回り大きくなると、その2乗で面積が増えるので、見た目以上に量は多くなります。

やせる皿のサムネイル画像

お皿の大きさだけでなくお皿の構造も有効で、右の図のようなお皿の指示通りにはみ出さないように料理を載せていくと、健康な食事が摂れます。

この研究ではⅡ型糖尿病の患者さんを対象に6ヶ月間このお皿で食事してもらいました。

6ヶ月後、同じように食事指導を含む医療的なケアをしたお皿なしの人と比較して、体重減少は 0.1±3.5kgに対し、2.1±4.9kg(P<0.01)、5%以上体重減少した人の割合は、4.6%に比べ、16.9%(P=0.048)でした。全体では17%でした。
また、お皿あり群では26%、栄養指導のみのグループでは11%の人で薬が減りました。逆に薬の量が増えた人を比べると、お皿ありが14%、栄養指導のみが34%でした。

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M E J LEAN., et al., "Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial". the Lancet. 2017 と合わせて読むと、皿には治療効果があるってことにもなりますね。

これも薬や医療と一緒で、皿を使えば治るわけじゃなくて、皿ありでもなしでも減量が重要ということです。似たようなお皿は日本でも買うことができますが、皿を買って安心しないように。

行動経済学には食に関するおもしろい研究がいくつもあって、まあ、たくさん出す(サーブする)とたくさん食べちゃうことはもう、真理に近づいてますね。
人は、どれくらい食べたいかで決めるというよりは、出された分だけ食べちゃう、っていうような研究がたくさんあるんですね。

Mac 'N' Cheese

B J Rolls, et al., "Portion size of food affects energy intake in normal-weight and over weight men and women". Am J Clin Nutr. 2002

約一ヶ月、ボストンに滞在して、生意気にもハーバード公衆衛生大学院に出入りしてきました。
アメリカで得たことが何か学問的な結果につながるとは全く想像していなかったのですが(ひどい留学!)、いきなり役に立ちました!

Mac and cheeseというのもこの研究で扱われている「マカロニアンドチーズ」なる料理、全く知りませんでしたが、「アメリカ人のソウルフードだから頼んどく?」と最初の飲み会で出会って
驚愕 (゜Д゜)(゜Д゜)(゜Д゜)。
茶色い。炭水化物。カロリー。私の感想はこれに尽き、全然食欲が湧きませんでした。
前述イチロー先生は食卓に出すことを奥様に禁じているようですが、不在の際は当然のように食卓に並び、お嬢様にとってはアンチストレスフードなんだそうで、ともかくアメリカ人はこれが大スキらしいです。
味は、なんというか見た目通りで、口に入れても「カロリーを食べている」というのがふさわしい。
最初の外食で触れたあと、帰国まで頼むことはありませんでした(ほとんど外食してないけど)。

この研究では、デフォルトでサーブする一皿の量を、500、625、750、1,000gと変えて、それぞれの群がどれだけ食べるかを検証したのですが、思った通り、盛りに応じて消費量が変化しました。それでも本人たちは食べたい分だけ食べたものだと思っているのです。食べた量よりは元の盛りの何%残っているかに引っ張られるのですかね。

つまり人は、食べるべき量を決定した上で食べるのではなく、出された分だけ食べてしまう生き物だということです。
この傾向はグループ分を取り分けて出しても大皿に出しても大差なかったのですが、男性と女性では男性のほうが流されやすいことがわかってます。なんとなく納得です。

5日前のポップコーン

 
この研究ではなんと、お金をもらってでも知ってたら食べたくない5日前のポップコーンを使用、映画館でタダで配ります。
さすがにまずさのあまり、キレて「金返せ!」とクレームした人もいたらしいけど、タダなんで、返せません(笑
ポップコーン
 
タダで配ったまずいポップコーンはMサイズとLサイズ、それでもなんと普通のポップコーンを配ったときより、まずいポップコーンのほうが、MサイズとLサイズの差が大きかった(まずいポップコーンほど、タダだからたくさん食べようという行動が多かった)というのだから驚きです。
 
人間は盛った分だけ、持った分だけ、食べてしまう生き物。
ホテルの朝食バイキングで欲が皿からあふれ出てるような人をたまに見かけますが、何回おかわりしてもいいので、ちょっとずつ盛ってください。
一方で、ホテル側としては「おかわり禁止、1回盛り切り」と謳うより、「何回でもおかわり自由」としたほうが、単価を高くできる可能性がありますね。
 
 
 

 

 

 

 

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