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健康診断

健康ハイリスク従業員は誰だ(3)スクリーニングの妥当性②感度

感度

「あの子はなかなか感度がいいね」

さて、そんな台詞であなたはどんな「あの子」を想像するでしょうか。

休職予測

感度というのは素晴らしい単語だと思うのですけれど、科学というのは血も涙もない領域で、単語に感情が入りません。

「感度の高い少女」なんてすごく天才的で繊細で美しい感じがしますよね。

感度を好意的にも悪意にまみれてもエッチな雰囲気でも使うことのできる我々の日常とは違い、統計学における感度は常に一定で、よいモノを測ろうと悪いモノを数えようと感度の定義はブレません。

何かを検出したい検査(スクリーニング)において、検出したい対象を検出した場合、その検査結果を陽性といいます。検出しなかった場合、陰性といいます。

これも陰と陽、英語ではPositiveとNegativeですが、「彼女っていつもポジティブで一緒にいると元気が出るよね~~~」とか、「ネガティブに考えないで前向きに行こうぜ!」とかみたいな意味合いはゼロです。

そもそもこの話題は企業内で健康ハイリスク者を抽出することの愚について一貫してご説明していて、ポピュレーションアプローチに対するハイリスク戦略ではカットオフ値を設けた上で選別を行なうというプロセスが必要だということ、このプロセスが企業の経営資源を投じるには無駄が多いというのが私の持論なため、こうしてスクリーニングについて細かくご説明するのも同様に無駄だとは思うのですが、ともかく日本人は検査が好きですね。意味もわからずただ好きなので、隠れインフルエンザなんて恥知らずな現象が起きてしまうのですが、だからこそ、一度くらいはこうして説明する必要がありそうです。

2×2

前回とりあげた血圧測定という検査で、高血圧を検出すると仮定した場合、まずはカットオフ値を定めます。収縮期血圧が130mmHg以上か拡張期血圧が80mmHg以上のどちらか一方でもあてはまれば、被検者を「高血圧症」とラベリングします。
これが血圧測定で得られた結果ですが、本当の高血圧症を定義する必要がありますので、ここでは1日に3回、1週間欠かさず測った血圧の平均収縮期血圧が130mmHg以上か平均拡張期血圧が80mmHg以上のどちらか一方でもあてはまれば、本当の「高血圧症」とします。

スクリーニングでは血圧が130/65なら陽性で、血圧が129/79なら陰性になるわけですが、この2人は本当の高血圧症である可能性があまり変わらないような印象を持つのではないでしょうか。

感度は本当に陽性な人のうち、検査で陽性になった人の割合です。本当に陽性の人は図のa(本当に陽性で検査でも陽性=真陽性)の人と、図のc(本当に陽性だけど検査では陰性=偽陰性)の和ですから、計算式は以下のようになります。

感度=a/(a+c)

感度の高い検査というのはCの少ない検査とも言えるわけです。

血圧と脳卒中の関係

なぜ高血圧症者を抽出したいかというと、高血圧症者は図のように脳卒中になりやすい(話を簡単にするためにこの場では脳卒中だけを話題にします)ため、降圧薬の内服という介入をして血圧を下げ、脳卒中から守りたいからですね。グラフは相対危険度を示していますが、たとえば45歳の健康な男性が10年以内に脳卒中を起こす可能性は1%程度で、同じ45歳で血圧をどんどん上げていくとそれがどんどん危険度を増し、喫煙や肥満などのリスクファクターを盛り込むと16.3%程度まで上がりす。

とはいえ、あたりまえですが、血圧が高くても低くてもこの世には脳卒中を起こさない人のほうが圧倒的に多いわけです。

5%くらいの人を高リスク者としたいな~と考えた場合は、カットオフ値を収縮期血圧150mmHgにすれば好さそうに思えますが、その検査陽性者の血圧を軒並み150未満に下げたとき、組織全体の脳卒中リスクはどれほど下がるのか、ということを考えなければなりません。

前回話題にした研究を例に取ってみましょう。

表 傷病予測

誤解のないようにいいますが、この研究はストレスチェックが傷病休職者のスクリーニングに使えることを示すものでは決してないので、その感度について論じているのは例示の意味でしかありません。

ただし、お伝えしたようにストレスチェックを傷病休職者予測として使いたいと考えるよからぬ経営者がいることを踏まえて、例に出します。

感度は 9/(9+25)=0.265 で26.5%となります。

そんなにたいしたことないな~~という印象ではないでしょうか。

そしてスクリーニングには感度以外にもその妥当性を測る上で重要なファクターがたくさんあります。

次回は感度についてもう少し学んだあと、特異度について触れましょう。そして感度と特異度の関係に進みます。

 

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