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健康HR魔女狩り(4)スクリーニング③感度と特異度

感度

前回のコラムでは、感度とは本当に現実に〇〇な人のうち、スクリーニング(検査)でしっかり〇〇と検出できた人の割合を%で示したもの、ということをお伝えしました。

同じ検査でも〇〇の設定によって感度は変わります。

休職者を知りたい

前回は、血圧測定を例として、一回測定時の血圧で高血圧症を定義するなら押しも押されぬ100%ですが、直近100回の平均と1回を比べるとなると100%ではなくなること、血圧を調べる意義でもある、10年後に脳卒中を起こすかどうかを検出したい対象と定義するならば、さらにその感度は下がることをお伝えしました。
その上に、本日お話しする特異度について考慮すると、スクリーニング精度としての価値は大幅に下がるものの、それでも血圧測定をする意義があるのは、血圧測定が安くて早くて効果的だからだとご説明しました。

もし、〇〇を見つけたときに、その〇〇があることの悪影響をゼロにできるような解決策がはっきりとわかっていて、その解決策が〇〇がない人に曝露しても一切よからぬことを起こさないとわかっている場合には、感度の高さは非常に重要です。感度が100%の検査ならば、ともかく陽性だった人にその解決策をあてはめればいいわけです。ただし、そのような場合には概ね、〇〇がない人にとっても解決策は影響がないどころか、よく作用する場合が多いので、それが安価な策であれば特に、スクリーニングという手間やコストをかけずに、最初から全員に解決策を施すシンプルなポピュレーションアプローチのほうがいろんな意味で好ましいという結果になります。前述のように血圧測定の場合は、スクリーニング自体も手間やコストが小さいので、健康行動の実践というよい点も評価して、やってもいいスクリーニングにカウントできます。

禁煙 就業規則

たとえばこれまでお示しした例では、正常血圧の人々も含めた全員の血圧を2mmHgずつ下げるとか55歳以上の全員に多剤内服させるとか、もっとわかりやすいのは就業時間中禁煙を定めるとか、社内のすべての窓を紫外線不透過窓にするとかが、〇〇を見つけたときに、その〇〇があることの悪影響をゼロにできるような解決策がはっきりとわかっていて、その解決策が〇〇がない人に曝露しても一切よからぬことを起こさないとわかっている場合ですね。

一貫してお伝えしたいことでいえば、まず、スクリーニングというプロセスを省く設定で健康経営プログラムをデザインすることです。たとえば訊かれたくない質問による心理的なストレスや被曝や組織の損傷をともなう身体的なストレス、費用や時間という企業にとっては最もリスキーな社会的コストのまったくないスクリーニングはありえないので、スクリーニングによってしか結果を検出できず、結果を検出してからしか、解決策が立案なり実行なりできないという場合でなければ、スクリーニングそのものをすっ飛ばすという英断が最も賢いのです。

特異度

もう一度、昨日と同じ表を3つ用いますね。

これからあわてんぼうとぼんやりのお話をしますが、私は本当にあわてんぼうとぼんやりで、このコラムもいつも一生懸命書いたモノが保存する前にタイムアウトになり、消えてしまいます。あわてんぼうとぼんやりは全くキャラクターが異なる、というご説明をしなければならず、その説明をさんざんしたのですが、本日もそれがすべて消えてしまいました。消えた中には、あわてんぼうとぼんやりという説明がわかりづらいという文句を書いたのですが、そんな愚痴を書いたから罰が当たったのかも知れません。

2×2のサムネイル画像のサムネイル画像さて、気を取り直して・・・

感度というのはガチで、リアルに、マジで陽性な人、つまり表中のa(本当に陽性で検査の結果も陽性な人)とc(本当は陽性なのに、検査の結果は陰性になってしまった偽陰性の人)の和のうち、aの真陽性の割合を%で表した尺度です。つまり何か検出したい対象を見過ごしてしまうというぼんやりのミス(c=βの過誤)が少なければ少ないほど、感度=a/(a+c)は大きくなるんですね。

ただし、そもそもなぜ検査をするのか、に立ち戻ってみると、検査をして陽性だった人々に対して、何か対策を施すためにやるわけですよね。先ほども触れたように、その対策が陽性の人の問題やリスクに対し非常に優れた解決力がある上、陽性でない人にとっても無害、無影響であるばかりか、有益なり好ましい影響なりがある場合は、検査のプロセスをすっ飛ばして全員に解決策を施してしまえばいいわけです。

あわてんぼうとぼんやりのサムネイル画像

とはいえ、その解決策が手間ゼロ、コストゼロなら、そうしますけど、効果はあるとはいえ、安くはないと思うと、腰が引けちゃうのが普通の経営者かもしれません。医者なら、よいとはわかっているけど病名をつけないと診療報酬がつかないので一銭ももらえない、それなら、病名をつけるための診療報酬のつく検査をやった上で、対策にも点数をつけようと思うかもしれません。もちろん、検査である程度、選別することによって、解決策にかかるコストを下げたいという感覚は非常にリーズナブルでもあるんですが、それが許される感度って何%ですか?

特にその対策が陽性でない人にとっても無害、無影響であるばかりか、有益なり好ましい影響なりがある場合は、感度は100%でなければなりません。だって、わざわざスクリーニングにもコストと手間をかけた上で、本来は解決策に曝露されなければならないはずの本当はガチで陽性なのに検査で陰性にされちゃった人が解決策にアクセスできないって最低じゃないですか???

さて、感度の一方で特異度というのはその反対に、本当にガチでリアルでマジで陰性、病気にしろ感染にしろ、存在なんかしていない人々、つまりb(本当は陰性なのに検査では陽性になった偽陽性)とd(ガチで陰性で検査でも陰性の真陰性)の和のうち、dの割合を%で表した、陰性判断の確からしさを示す尺度です。

特異度=d/(b+d)

すなわち、本当は陽性にしなくていいものまで慌てて陽性にしちゃうあわてんぼうの余計なミス(偽陽性=αの過誤)の割合が少なければ少ないほど、特異度は高くなるのです。

対象の検出要素と解決策の組み合わせの中には、その対策が陽性でない人にとっても無害、無影響であるばかりか、有益なり好ましい影響なりがある場合とは正反対の、陽性でない人にやればそれが新たなる別の病気なり致死的なイベントの引き金となる一方で、すぐさま陽性の人にその対策を施さない限り陽性の人は命を落とすことになる、というような高度専門医療最前線的なクリティカルな条件設定も充分にあり得ます。

このような設定のスクリーニングに関しては企業が健康経営の一環として軽率に手を出さないことを心より助言します。

餅は餅屋。企業は医療機関ではないので、ガチで高度医療が必要なことは専門家に任せて、企業は自社のミッションを達成しましょう。もし、本当は陰性なのに、まちがって陽性になってしまったことで対策に曝露されたら命を落とすような場合には、偽陽性は絶対にゼロでなければならないので、特異度は100%しかありえません。

表 傷病予測のサムネイル画像のサムネイル画像

そうはいってもそんなにびびることはなくて、産業保健や健康経営上に扱う法定健診やストレスチェックにおいて、すぐに致命的な治療や就業停止などを企業が命じることはないので、二次健診や軽い就業制限など誰にとっても効果的か無害な対策を提案すればいいのです。

前回のストレスチェックの研究を例に取ると、その特異度は94.5%です。これは充分に高い数値だと感じますか? ちなみに感度は26.5%でしたね。

むろんストレスチェックは長期傷病休職予測スクリーニングではありませんから、この数値について議論するのはナンセンスで、また、従業員の長期傷病休職を予測したいという経営者の感覚自体もナンセンスなのですが、健康経営を推進する弊社としては頭を抱えて嘆きたいことに、(予測した上で何するのか知りませんけど)予測したいという経営者がたくさんいますので、そういうスクリーニングが存在すると仮定するなら、特異度の94.5%は悪くないと考えます。

もし、「感度が100%ならば」かつ「対策があるのなら」、です。

本日はこのあと、感度と特異度のトレードオフについてお話しする予定(というかしていた)のですが、消えちゃったので、あきらめて、次回に回しますね。

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