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健康ニュース・最新研究

ワクチンと孫

風疹が流行 患者数は1,000人以上

風疹は何年かに一度、日本でも大流行します。平成24~25年の流行に続き、本年はその流行年に当たるようで、既に患者数の報告は今月16日で累計1,103人でした。

心陽クリニックは医者嫌いの患者さんが多いのですが、それでもワクチンのお問い合わせをいただき、今年は風疹、麻疹(はしか)、ムンプス(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)など、多彩なワクチンに需要があります。

ワクチン 待たない

4歳上の兄が幼稚園から、なんでもお土産に持ち帰ってくれるので、感染症には早熟だった私はすべてを幼児というよりほぼ乳児で体験し、毎回、死にかけておりました。成人してからもO-157をはじめとする日和見感染やジカ熱などの時事ネタ感染にやられっぱなしです。

しかしおかげさまで抗体がしっかりできているだろうと信じていたものの、普段はできるだけ医療機関や医者を避けるビジネスマンたちからの問い合わせの多さに、久々に4種の抗体検査をして、無事を確認しました。

罹患記憶のない健康な患者さんには抗体検査よりワクチンをオススメしています。

抗体検査を無料で提供する自治体もあるようですが、無料で提供するならワクチンにしてほしいものです。私の場合は、ほぼ確実にどの抗体もあるのがわかっていたので検査をしましたが、5,000~10,000円をかけて4種の抗体を検査したあげく、すべて陰性だった場合、すべてのワクチンを接種するのが次の行動として望ましいです。それぞれまた1回6,000~12,000円くらいかかり、2回打つのが確実です。

本年は風疹の流行がありますから、風疹ワクチンかMRワクチン(風疹と麻疹の混合ワクチン)を接種して、毎年自己投資としてワクチンをしていくのはいかがでしょうか。

ワクチンの社会性 集団免疫という正義

ロート製薬、1,700人の従業員に風疹ワクチン接種

風疹ワクチン はしかワクチン

さすがロート製薬、これは英断と膝を打ちました。

動画を観ていたらよく知っている管理栄養士が登場! 弊社からも頼めますよ!!

健康経営と福利厚生、産業保健医療とお医者さんごっこ、健康管理とベビーシッティング等々、医療っぽいことと経営っぽいこととの間には誤解や間違いだらけなのが現実です。

自治体負担でも企業負担でも、感染症対策は公衆衛生施策、つまり社会貢献(CSR)なのだから、社会組織単位で金銭的負担をしたらいいんです。

どうしても介入パターンを分けたければ、男性社員は義務教育年次で

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経営者に全員ワクチンを勧めると、抗体検査を先行させたがります。ともかく企業のような健康な集団の中で、予防介入をするのにカットオフ値を設けてハイリスクアプローチをするほどバカげたことはありません。

「抗体があってワクチンを受けたくない社員がかわいそう」というなら、「抗体があるのにワクチンを受けたくない社員は自腹で抗体検査をして証明してください」でいいんじゃないでしょうか?

風疹ワクチンの場合は生年によって制度が異なりますので、それで線を引くのはまだ論理的ではありますが、それにしてもコスト面からも「カットオフ値を決める」「測定する」「分類する」の手間をかけるほうが絶対にリスキーです。

集団免疫が世界の健康概念を変革した

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しょっちゅう引用する死因の変遷の図です。

ちょうど第二次世界大戦を境に世界の死因が感染症を中心とする衛生要因から、脳卒中、心筋梗塞、がんなどの心理社会的環境要因に変化しました。

感染症というのは感染している(+)かしていないか(ー)のオールオアナッシング、1か0かの2択しかなく、そろそろ感染しそうな予備軍とか、境界型とかはいません。

一方で脳卒中や心筋梗塞などの致命的なイベントの背景となる高血圧に関していうと、高血圧か高血圧でないかのゼロイチでは議論できません。高血圧の人も確実にすべての瞬間に血圧があり、血圧があることは生きていることとほとんど同義です。

詳しくは過去のコラムで復習していただきたいのですが、血圧が高くなるほどイベントは起こりやすいと同時に、脳卒中を起こす人の収縮期血圧で一番多いのは140mmHg弱なんですね。300mmHgで起こす人より、130mmHgで起こす人のほうが多いんです。それはそうですよね、血圧は連続の値で、130台は治療中の人にも未治療の人にもまあまあ多いゾーンです。この世に高血圧は降圧すべきという概念がなかったときから比較的メジャーなゾーンですし、日本の医療では140以上から病名をつけて降圧しますので、未治療130台は温存される上、さらに高い血圧の人が130台に下りてきて、ゾーン人口は膨らみます。人口の高いところでイベントがたくさん起きるのは道理です。

集団免疫

感染症は陽性+か陰性ーかの概念もわかりやすい上、ワクチンで予防することができます。世界中で猛威を振るった多くの凶悪な感染症がなりを潜めたのには、ワクチンの効果が大きいことはご存じでしょう。

それでは世界中の人々がすべて、ワクチンを受けて抗体を獲得したのでしょうか。それは違います。高齢者や新生児、乳児、幼児などの世代により、あるいは疾患や治療により、免疫不全や免疫低下を抱える人々、ワクチンにアレルギーのある人々など、医療上の理由でワクチンを打てない人、移民などで社会的に孤立して国や自治体、企業の集団ワクチンなどへのアクセスを持たない人、そのうち特に貧困や無知などの低SESが理由でさらにアクセスから遠ざかる人など、バイオ・サイコ・ソーシャルのさまざまな事由で全員がワクチンを接種されるのは非現実的です。

しかし、感染症の撲滅に全員がワクチンを受ける必要はありません。上の図で左側の青い人はワクチンを受けていない人です。もちろん、受けていない理由は人それぞれでしょう。なかにはどうしても医療上受けられない人も含まれるでしょう。なんとなく、一番下の4人はそんな人々であるような気がしませんか。その4人を含む組織に2人の赤い感染者がやってくると受けていなかった4人のうち、1人は感染してしまいましたが、3人は感染しませんでした。

現在ワクチンの接種をオススメしているインフルエンザに感染して命を落とすのは、高齢者が最も多く、他には妊婦や赤ちゃんなどです。インフルエンザ感染が命を脅かすほど重篤になる人々の多くが、ワクチンを受けられない理由のある人です。ワクチンを受けない理由を尋ねると、自分は健康で体を鍛え生活を節制しているからと答える人がいますが、ワクチンは自分のためのものだけではないのです。3段目のワクチンを受けていない人の感染率が25%であるのに比べ、2段目のワクチンを受けていない人の感染率は90%と誰一人ワクチンを受けていない集団の効果と変わりません。これはワクチンの製剤の差で起こることではありません。3段目の守らなければいけない青い人々が、黄色い人々のバリアで感染源から隔離されている様子を見て下さい。

そう、ワクチンの予防効果を決めるのは、製剤開発以上に大勢の健康な人の行動なのです。

ジムで体を鍛え、皇居の周りを走るあなたが万が一インフルエンザに感染しても、命に関わることはないでしょう。
そんなあなたは自分が感染しないためではなく、バリアになるためにワクチン接種を選択して下さい。
屈強な健康体を創ったら仕上げに是非、自分のためではなく社会のためにワクチンを接種し、健全な肉体と精神、そして社会(仲間)を同時に手に入れましょう。

「孫ができるんです」

今回お問い合わせ下さった男性は不要な医療はできるだけ受けたくないという信念をお持ちですが、数年前、成人してはじめてお子さんからもらったインフルエンザを罹患、独立専門職のかき入れ時に休むことも捗ることもできず、それこそバイオ・サイコ・ソーシャルの苦痛に七転八倒してから毎年、ワクチンを受けてくれています。

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いくら道徳的に、あるいは科学的に正しいことを主張しても、人の行動変容にはきっかけが必要です。

でもこの変容からは常に医療の費用対効果をバイオ・サイコ・ソーシャルの三面で検討する習慣ができ、たとえば花粉症の対症療法も選択するようになりました。

そのため今回のお問い合わせもその一環と考えていたのですが何と、さらに一歩進んだ行動変容へのナッジの主役は初孫だそうです。このような記念と合わせれば本人も家族もこの先、接種歴をしっかりと覚えていられますし、すばらしいメモリアルですね。

お子さんやお孫さんの誕生やご結婚など家族が増えるとき、入学や就職などの仲間が増える際、健康行動をはじめる人が多い理由は、実は人間は本能で、新しい仲間と健全な社会を創ることの大切さを知っているからではないでしょうか。

心陽クリニックでは各種感染症のワクチン接種、抗体検査を承っております。
もちろん、職場の集団接種、集団検査が可能です。いつでもお問い合わせ下さい。

なお、心陽クリニックは完全予約制です。待ち時間ZEROを心がけております。ルールを守ってご受診ください。

 

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