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対話する医療 人間全体を診て癒すために

発売当時、友人の何人かが熱狂的に賞賛していた本書ですが、やっと読みました。

対話する医療友人たちは医学生やヘルスコミュニケーションに興味のある非医療者でしたが、30年目のベテラン医師みたいな人が読んだという話はきかなかったかもしれません。

著者の孫大輔先生は市民と医療者の対話の場、みんくるカフェを主催しながら、現在は東京大学医学部の学生さんたちにまさに患者さんとの対話を教えているのだそうです。

20年以上前に私が医学生だった頃には、まだこのように患者さんとのコミュニケーションに関する授業はありませんでした。

それしかできることがないのでとことん患者さんとお話ししていると、というより70歳くらいのその女性が30年ぐらいの人生をおもしろおかしく話してくれて、まるで映画みたいな人生で聞き惚れてただけだったのですが、指導医の先生に叱られました。

「僕たちはね、シルクのガウン着て、バカラでブランデーを飲んでいるような人種だって思わせなきゃダメなんだよ」って。

こいつバカかな??と思いましたけど、一応、「へ~」って言いましたね、懐かしい思い出です。

学生の頃、患者さんはたいてい年上ですし、年下でも入院も含めて聴きたくなるような経験をしている人ばかりで、所詮学生ですからこちらも時間はいくらでもありますし、何時間でもおもしろい話を聞かせてくれるのにすごくありがたがってくれて、思えば天国のような時間でしたね~。

あとがきに、妄想の内容が現実なんじゃないかというところまで共感できたとありましたが、妄想こそが脳の高次機能の表現形だと信じているので、私の場合は最初からそう思ってしまっていましたね。自分の見ている景色、自分に聞こえている音が、隣の人の知覚しているそれと同じだという保証なんて、まったくありませんし、全然違うのではないか、違うに決まっているだろう、とすら日々思っています。(へん?)

前述の女性の人生についても、精神科の患者さんに教えてもらった宇宙レベルで起こっていいるすごいことについても、今でも完璧に覚えているし信じています。まあ、おそらく私に足りないものは共感力ではなく、もっと東大の学生さん達が教わらなくてもできるようなお勉強だったんでしょうね~。

映画の中ではプロの役者さんたちが、本物の医者らしく演じているのに、それをみて医学生たちが医者らしくなっていくのも、おもしろいなあと思います。模擬患者の役はやってみたいですね。

最近の研修医はこういう授業を受けているからか、とても如才ないのですが、共感力が高いとはあまり思いません。最近の研修医とひとくくりにしてしまうのは乱暴すぎますが、医は仁術の仁を、いい年をした学生に教える手段としてなにがいいのか、そう簡単ではありませんね。非医療者の皆さまには、その複雑なことをあの手この手でなんとかがんばっているんだよ~ということをこの本で知っていただくチャンスであり、だからこそ、ぜひ、医療者の対応に対して、特に至らないところをいろいろと教えてほしいと思います。

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