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食事・栄養・ダイエット

食べたものがカラダをつくるか

あなたのカラダは、あなたの食べたものでできているのか。そして、あなたの人生は?

このコラムでは以前、3回に分けて、過去の知見を引用して「君たちはどう食べるか」という特集をしました。

食べ物と健康

第一弾は特に行動経済学的アプローチから「お皿のサイズ」というタイトルで解説しました。
食べることに関して処理しなければいけない仕事が多すぎるので、私たちは食行動においてもシステム1で半ば自動的に処理してしまいがちです。

第二弾はあえて何を食べるかをジャッジしようとするために陥るわなに着目して、「ダイエッターのパラドクス」をとりあげました。
自動的に食べること=劣悪な食事というワケでは全然なくて、むしろシステム1対象にナッジしやすい利点がある一方で、にわか知識や偏った理解でへたに健康な食行動を探索するとむしろ、目的が果たせないことがあります。

第三弾は20年前の大スキな研究を引用して、要は食事を人生のエンタメとして楽しむのが一番という正解を「食意識とお国柄」として示しました。
食べる目的は、いや、食べる目的である「生きる」目的は、正しい栄養を摂取することではありません。それは愉しむということに似ています。人間は社会の役に立っているとき、最も幸せを感じます。つまり食べることもその幸せにつなげてはじめて意味があります。

血中濃度のおとしあな

先日、健康そのものだった健康意識高い系ライターが救急搬送されたときに気付いたことを綴った記事を読みました。私のような医療者、特に循環器系救急疾患や痛みの診療に関わることの多い麻酔科医にしてみれば、他の多くの臓器で当該臓器の不全で当該臓器が直接痛むことがないことを知っているので、心臓病で心臓が痛むわけではないことは、空気中の酸素濃度が21%だってことくらい、常識的なことで、患者さんに説明したほうがいいということにも気付かないくらいです。

心臓発作

ところがこの記事を読んで、「心臓発作」で検索してみると、この図のように心臓を押さえるイメージが一般的であることがわかります。英語の検索では多少まともですが、やはり心臓を胸で押さえている画像もあります。

偽科学

栄養に関しても同じような誤解が蔓延しているのだな~と感じたのは、先日、テレビでEPAが体によいので、EPAが含まれる食品をたくさん食べて、介入前後の血中EPA濃度をはかりましょう、という番組を見たからです。

EPAなどのω3脂肪酸の一定量以上の摂取は、心臓イベントの発症率や全死因死亡率との負の相関が認められていて、健康になる食材といって間違いがないと考えられます。心臓イベント発症率だけでなく各種脂質との関係も明らかになっているので、おおよそそれらに関する経由によって健康になるのだろうとは考えられていますが、EPAの血中濃度に関しては特にエビデンスはありません。

なぜないのでしょう。それは生化学とか医学とかを理解する人間にとって価値がないからです。

脂溶性のビタミンはアブラっぽい食事と食べた方が吸収率が上がる?

こちらの主張も偶然みたテレビでの意見ですが、当然、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンでは吸収経路が異なっていて、脂溶性ビタミンは脂肪とほぼ同様の吸収経路をたどります。水溶性ビタミンは、たとえば、ビタミンB1はチアミンとして、ビタミンB2はリボフラビンとして吸収され、ビタミンB6は受動拡散により吸収されます。私は生化学は得意ではありませんが、脂溶性のビタミンをアブラと食べたときに吸収率が上がる、というのはどのようなワケなのでしょうか。

このコラムに何度となく書いているとおり、口の中に入れたものが、体の一部になるのは、ある側面では事実ですが、そのプロセスは複雑で、時間の経過もあります。体を作るために食事をするのはよいのですが、健康を創るためならば、バイオ、サイコ、ソーシャルの視点で考えて、食事を愉しむ工夫が最も近道でしょう。

 

 

 

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