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北原茂実先生の弾丸トーク

「病院」がトヨタを超える日

第2回デジタルヘルス学会学術大会の基調講演を聴きました。

病院はトヨタを超える

2011年に北原先生の「病院」がトヨタを超える日を読んだときの衝撃をよく覚えています。

シンクロニシティーなんてものじゃない共感にまさに狂喜しました。

憧憬とか尊敬とか目標とか言うのは易しいですが、どんな言葉でも足りないほど強い想いで追いかけています。

2011年はちょうど起業の年で、北原先生はちょうど20歳上で、先生の軌跡を一つの目標にしようと誓った記憶が懐かしいです。

2015年には現在の医療みらい創生機構のもとになる医療経団連の設立準備に加わることができて、なんととうとう雲の上の北原先生と直接お話しする機会がありました。

その年の3月頭、雪の残る寒い八王子で素晴らしい病院を見学し、キレッキレにムダのない会議に参加し、講演を聴きました。

講演の内容は書籍よりさらにさらにアップデートしていて、ものすごい早口、一切、よどみなく信じられないボリュームで2時間ぶっ通し、喋りっぱなしで進みました。

この人に惚れない人がこの世にいるんだろうか?とくらくらしました。
同年5月にも2時間の講演を聴くことができ、さすがに2ヶ月しか経っていないので、重なることも多い内容でしたが、重なっていない部分も数割あって、それにも驚きました。

3年7ヶ月ぶりの2時間の講演は、前回と同じスライドも同じ内容もひとつもなく、こういうことをするつもりだと聴いた話はすべてが言うまでもなく現実になっている状態でした。

北原先生のトークは柔らかみを増していて、いっそう聴きやすく、もう心の底からうっとりとデトックスできました。

人に優しい、よりよい社会を創る

北原先生の話が素敵なのはそのゴールがシンプルだから。

人と人との優しい関係、それぞれの役割を認め合い、尊重し合う、やりがいと生きがいのある社会、そういう誰にとっても大切で至極シンプルな社会を創るため、机上の空論ではなくひとつひとつ現実に変えていく、動かしていく、結果を出していく、それだけが北原先生の関心で、その明確な使命をただただまっすぐ果たしていらっしゃいます。

医療への信用

どのお話も印象に残ったけれど、質問に答えられた医療への信頼の利用価値についても大きく頷きました。

北原先生は必ず初診で趣味を伺うんだそうです。

私は北原先生の診療スタイルも大スキで、内服薬を診察室で服用させるなど、真似をしています。私は麻酔科医なので、20年の臨床で、自分の投薬が相手(患者)にどういう影響を与えるのかを必ず確認してきました。
だから投与したことのない薬を持ち帰らせて医療機関の外ではじめて服用させるスタイルに抵抗がありました。
北原先生があっさり、どの薬がいいかわからないから診察室で飲ませるとおっしゃっていて、私もそうしています。
安全で効果のある薬だけを処方することができます。

話が逸れましたが、患者さんはいそいそと趣味を教えてくれるそうです、確かに想像できます。私も皆さんにいつもの質問をします。

先生に指摘されて気付きましたが、たとえば銀行の窓口で、市役所の戸籍係で、中年のおじさんが若くて美しい女性に
「趣味はなんですか?」なんて訊いたら、通報されかねないですよね。

「いびきかきますか?」、「口のニオイを指摘されたことは?」、「昔から太ってたんですか?」などなど、医者以外の人間が初対面で尋ねたら、トラブルになりかねないこと、私もずいぶん言ってます(笑)

失礼じゃなくても、「素敵なシャツですね」とか「綺麗なネクタイですね」とか、服装やアクセサリーを褒めることも多いです。
これもところ変わればセクハラになっちゃう時代ですよね。
それどころか「セクシーですね」「肌の手触りがいいですね~」と言っちゃうこともしょっちゅうあるので、そろそろ気をつけなきゃいけませんね。

でも、失礼なことでも、容姿に関することでも、皆さん、全くいやがらずにいそいそと答えてくれます。

産業医として企業で面談を行なうと、診察室じゃなくても、医者というだけで皆さん、たいへん信用して秘密を教えてくれます。
よく産業医は会社の犬だから本当のことは言わない的なこともネットの書き込みなどでは見るのですが、私のクライアントの従業員は全員、そんなことまで教えてくれるな、というところまで話してくれます。
全員に面談するなら相手とも面談するのに、誰が好きとか嫌いとか、実はあの二人が仲がいいとか悪いとか細かい人間関係まで全部教えてくれます。
まあ、医者というのは「守秘義務」があるから、どこか、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶための穴のような存在でもあるのかもしれません。穴よりは反応もあるし、自分の健康にも繋がるかもしれないし、セクハラパワハラにもならないし、いいのでしょうね。

どの患者さんにも趣味を訊くという姿勢からも、北原先生がいかに素晴らしい臨床医かがわかります。

趣味の話は患者さんのほうが医者よりきっと得意ですから、つかみとしては最高ですよね。

銀行ではクレジットカードさえ持っていけばお金が下ろせます。
顔つき免許証を確認したりしません。
それでも人は銀行で生体認証を好むわけでもありません。
なんだか犯罪者扱いされていると感じたり、煩雑だったり。私自身、5年前にクレジットカードを指紋認証にしてから、一度もお金が下ろせていません(しかたなくオンラインバンキングを使っています)。

北原先生の病院は生体認証です。指紋ではなく顔や歩容で認証します。

歩容認証は診断にも役立ちます。歩容の登録でほぼ診断名や介護度まで推測できるそうです。

そして個人情報を集めることも可能です。国には医療情報を知られたくないという国民がたくさんいる一方で、医者には本当にいろんなことを知られたいのです。

この信用を持っている医療機関こそが社会のプラットフォームの中心にならなくてどうするというのが北原先生の考え方です。

北原トータルライフサポート倶楽部

だから北原トータルライフサポート倶楽部では、医療機関が中心になって、まずは銀行に口座を作ります。
いざというときは本当にバタバタするものだから、いざというときのお金はここから出しますね、とあらかじめ決めておくのです。
銀行が信用できなくてタンスに貯めていても、これは病院に払うための口座だから、病院の先生も絡んでいる口座だから信用できると思って口座を開設します。
 

リビングウィルサービスにかかる費用や協力医療機関での医療費の支払いをキャッシュレスで可能とするサービスが利用できるのです。

このサービスは、世界一の超高齢社会を迎える日本でも安心・安全・快適・健康な生活を送れるよう、これまでの医療の枠にとらわれず、地域の人々の生活をトータルで支えるための会員登録制「医療・生活サポート」サービスです。
 
体調不良だけでなく、家電の故障でも水漏れでもこのサービスに頼ってよいと先生は言います。
ただでさえ忘れっぽくなる高齢者に、いちいちトラブルの内容ごとに複雑な行動を取れというのがムリで、なんでもいいからともかく困ったらこのサービスに電話、このサービスは医療じゃないんだけど、サービスの中心にはちゃんと病院があるから信用できる、元気なときに顔認証や歩容認証をしに病院に遊びに来て雰囲気に慣れ、動物とあそんだり、土に触れたり、レストランで食事したり、温泉に入ったりして帰ればいい、それもすべてキャッシュレスです。
みんな老後が不安で、急に病気になったり、けがしたり、何らかのトラブルで迷惑をかけたくなくて、だからタンスにお金を貯めているから、もっと上手に使っていいんだよ、と言ってあげるしくみです。
 
特にデジタルリビングウィルは素晴らしい取り組みだと思います。私もPHRと医療情報、健診結果、勤怠などを網羅するプラットフォームをつくりたいと思いますがそこにもリビングウィルや臓器提供などの項目を設けたいと考えました。
電子的な同意を医療行為の同意とする壁など、こうして北原先生がどんどん壊していってくれます。
 
ホームページにはわかりやすい動画もありますので、是非ご覧下さい。

デジタルホスピタル

デジタルホスピタルの制服は「宇宙戦艦ヤマト」のイメージだそうです。
全く同じにしようとしたら、特に女性職員から「体型がはっきりわかるからイヤ!」と批判されて、独自にデザインしたそうです。
これが東南アジアでは「アニメみたいでかっこいい!!」とウケるそうですが、そりゃそうですよね、アニメの真似なんだから(笑)
 
この未来的な制服に拘ったわけはスタッフの耳にかかるAIマイク。
スタッフの呟きからカルテの記入や処方、処置の準備などをAIが自動的に行なうというもの。
「熱っぽいの?」とか、「あれ? 黄色いね、黄だん?」とか、そんな呟きからあらゆる医療が展開する世界は、もう来年から実現するそうです。
 
実際にすでにトイレは顔認証で尿や便の性状や量をカルテに自動記載しています。
これは、ご本人に訊いても正確には答えられないことですから、絶対にAIにやってもらって正解な部分です。
誰かに尿の量を測られるのはイヤだけど、器械だったら気になりません。
 
こぎ車椅子は高次機能障害で廃用してしまう前の患側を、つられて筋肉が落ちてしまう健側のトレーニングとともに動かす効果があり、リハビリは1PODからはじまるそうです。
脳の障害で動かないだけで、脚の構造としては動くわけですから、動かしておくのはすごく有利ですよね。
脳外科医の発想とは思えない。優秀な脳外科医は脳外科医とは思えないほど柔軟な発想をするんですね。
 
そうそう、人と器械の周波数の違いについての話で、麻酔科医と麻酔について言及してくれたのが私は嬉しかったです。
この中に麻酔をかける人がいればわかると思うけど・・・と話し始めて、麻酔科医をすごく正しく評価してくれている内容で感動しました。できる外科医は、本当は麻酔なんて自分でかけられるんですよね。
 
だから北原先生のリハビリ病院は世間が平均90日入院するところを平均30日、入院しながら日中は自宅でリハビリします。
すごい、本当に患者さん目線の着想ばかりです。
 
スヌーズレンについても数多く言及されていました。
北原病院では眠れない患者には部屋の空調や照明を変化させて応じるそうです。
すばらしい。ほとんど産業環境保健です。
治療中も予防を続けるほうが有利なのだから、院内に産業環境保健を適用するのは当然ですね。
しかもハイリスク群でもありますし。
 
がんの免疫療法についても、北原先生のおかげでわかりやすく整理できました。
確かに本庶先生のノーベル賞がオプジーボに与えられた的な報道をされている節はありますね。
本庶先生にしてみれば一番、不名誉な勘違いですよね。
異型細胞を修飾する免疫機構が鍵だという前提においてPD-1の発見があるけれど、短絡的なPD-1阻害薬がすべてを解決するなんて、本庶先生自身が一番、思ってないですよね。
こういう免疫応答でも社会でも複雑なコンテクストを想像できないと曲解しやすいんでしょうね。
 
まだまだ備忘録としてとどめておきたいことばかりですが、充分冗長なので諦めます。
 
脳のキャパが許すなら、本当にいつまでもいつまでも聴いていたい素晴らしい講演。
次回は3年7ヶ月もあけずに聴きに行って、デトックスしたい!と思いました。
皆さんもぜひ機会があれば、北原先生のご講演を聴いて下さい。
日本にこんなに頼もしい先生がいる、私もがんばろうって必ず思えます。
 

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