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自分磨きと心理社会的環境

みがかずば玉も鏡も何かせむ まなびの道もかくこそありけれ

1876年に昭憲皇太后から女子高等師範に下賜された御歌ですが、「自分磨き」とは厚い化粧のように上辺を飾り立てて本質を隠すためのものではなく、余分やムダを摩擦で取り除き、芯となる自分の本質的な価値を最大限に活かすことで社会の役に立とうとするプロセスであると考えます。

自分磨き

つまり、中身のない人間がやると消えてしまうので、自分磨きの前に芯を育てることも大切です。
 
エステに行くとか、ファッションに気をつかうとかは、自分磨きではありません。それは磨くとは正反対で、表面に自分ではないものを塗って、磨けば出てくる芯を覆い隠す行為です。
もちろん、身だしなみを整えることはバイオ・サイコ・ソーシャルの健康にとってもよいことですから、おおいにけっこうではあります。

このコラムでは自分磨きを身だしなみではなく、目の前の業務に現在直接必要ではない知識や技術などのスキルを自ら身につけることだと考えます。
 
心陽の考え方では、企業は従業員に対して、報酬を対償とする労務である業務を与え、それを支援することが経営だと考えています。
それ以外のことはやらなくていいのです。
だから、本来企業は、従業員の自分磨きを支援する必要はありません。
自分磨きはまさに自分が自分を磨くものですから、よそから磨け、磨けとそそのかすのもおかしなものですし、磨けという命令は業務に必要な指示でしかすべきではありません。
 
そうはいっても、まさに最高の資源である従業員の価値を増幅し、より大きな生産性を獲得することで社会への貢献を果たさんがため、社員に自分磨きをさせるためのさまざまな制度を導入している企業も多いのではないでしょうか。
そして制度があるのに従業員が自分磨きに励まないことを嘆いて、よりよい制度にするにはどうしたらよいかとご相談されることもあります。
社員を学ばせたい
自分磨き制度をつくるなら、けっしてベビーシッティング的に従業員の機嫌を取るものと誤解されないよう、従業員にも制度の真意を明確に伝え、有効で賢い利用方法を支援する責任があると考えますし、そうお答えはしますが、それ以前に、本来、制度作りの前に自分磨きに対して前向きな風土をつくらなければいけません。これが奨励で、奨励というあとおしがあってもできない物理的・心理的・社会的な障害を取り除くことを促進とするなら、順番は奨励、促進が先です。そして、それを体現するための制度を作って充分に後援するという段階が必要です。
このように風土をすっとばして、だれかの業務のアリバイづくりに利用された理念なき制度が形骸化して積み上がり、結果、日常業務を逼迫してしまうシーンをよく見ます。
最悪のケースでは自分磨きをしなければいけないので、本来の業務に影響が出てしまうなんてことにもなりえます。
 
だからこそ、自分磨き制度をよりよいものにしようと考えるよりも、自分磨き制度を含むあらゆる制度をいったん すべて断捨離して、いつもどおりの業務支援、すなわち心理社会的な環境をよくすることだけをやればいいんです。
 
従業員に自分磨きをさせたいなら制度を作って奨励するより、普段通りの心理社会的環境作りをすればいいというすばらしいデータをご紹介します。

自分磨きとしての社会人の学びを行なわせるために企業ができる唯一最大のこと

 
まず、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査(JPSED)」(2018)によると、2018年の一年間に自己学習を行なった社会人は雇用者の33.1%(正社員36.9%、非正社員27.0%)、厚生労働省の「能力開発基本調査」(2018)によると自己啓発を行なった正社員は42.9%、正社員以外では20.2%となっており、大目に見て正社員の40%程度が自分磨きをしているのが実態な用です。
とはいえ、ふんわりした質問でもありますし、その程度や回数は不明です。
でも、企業がなんらか従業員が業務外で自分でやることを奨励しようとするときに、業務のようにしっかり管理できるわけではないのですから、健康づくりのセルフケア同様、その程度や方法などについて業務のように細かく支援する必要はありません。
 
心理社会的環境の力
この表だけ見れば、私の言いたいことはすでに皆さまに伝わったと想いますが、そうなんです。
従業員に自分磨きをさせたければ、形骸化する制度は不要です。
自分磨きのために特別かわったことをする必要はありません。
普段の業務支援として行なっている心理社会的環境の向上をし続けることで、自分磨きだけでなく健康づくりも業務スキルの獲得も勝手に従業員がみずから行い、結果として企業の生産性はぐんぐん上がるのです。
もちろん、どんなすばらしい風土をつくっても自分磨きをしない人もいれば、どんなにひどい環境でも自分磨ける人もいます。
そもそも磨くのには摩擦が必要ですから、デキる人ほど劣悪な心理社会環境がもたらすストレスの摩擦を使って自分を磨いちゃいます。
そういう人はもちろんすばらしい風土でも、しっかりそれ以上に自分を磨きます。
自分磨きの主語は自分ですから、どういうふうにどれだけやるかは自分次第ですし、それは会社が口を出すことではありません。
自分磨き、健康づくり、社外のボランティア、妊娠・出産・・・・・・業務とは直接関係ないけれど、企業として従業員に是非奨励したいいろいろなことはたくさんありますが、それについて一つずつ制度を作る必要はなくて、環境づくりだけでいいんです。
もちろん労働時間管理やスキルの向上など会社としてやるべきことに関しても同様、まずは制度ではなく風土をつくることです。
 
 

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