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インフルエンザ

「インフルエンザっぽかったら外出しない」ってかっこいい♪

「インフルエンザっぽかったら外出しない」って就業規則にしませんか?

巡業中の感染力士が話題ですが、毎年、「客観的なルールが必要」と議論される割に、結局、翌年もやってますよね?
そろそろ厚労省がモデル規定をつくったらどうですか?
その前にノームを作ってほしいですけど。
いつもテレビに出る医者とか芸能人とかがまともなノーム形成を主導してほしいものです。
 
どんなノームかというとタイトルの通りです。

「インフルエンザっぽかったら外出しない」

労働法を知らない医療従事者と医療を知らない人事総務の実務者が共通言語を持たずに行なう伝言ゲームは無意味です。
 
強制労働の定義は『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、自分の意思によるものでなく、他の者に強要されることによってする労働です。本人に労働の意志がないのに使役することはすべて強制労働で労働基準法第5条に抵触し、10年以下の懲役、または300万円以下の罰金が適用されます。
 
検査が陽性じゃなかったらインフルエンザっぽくても会社に来い!と言っても、強制労働として罰するのは難しいようですが、パワハラとしては充分成立する、とFBでコメントをいただきました。

「インフルエンザっぽくても出社しろ!」は『パワハラ」です!!

インフルエンザを疑う第一の理由は症状です(症候性診断)。
医療上、疑い疾患はその疾患があるとして治療し、その疾患があるとしてあつかわなければなりません。
医師は治療と並行して確定診断を目指し、一定期間(数年以上)内に疑いが晴れないと厚生局に指導されることが、まれにありますが、疑うことは疑わないことより推奨されています。
医療が絶対でないのは真理だからです。おそらく、ここに非医療者の大きな誤解があります。
 
インフルエンザの診断は「インフルエンザっぽい」ことで下され、この「インフルエンザっぽさ」を見極める特別なスペックが医者に備わっているわけではありません。
非医療者が「インフルエンザっぽい」と考えるのは、医師が「インフルエンザっぽい」と考えるのと差がないか、むしろ、より可能性が下がるでしょう(医者のほうが非医者よりも「インフルエンザっぽい」と思いやすい)。
 
つまりインフルエンザっぽい症状があれば、医者としては「インフルエンザであることがあきらか」として扱わなければなりません。それなのに医療機関に出かけて、『会社のきまりがあるから』、「診断書書いて下さい」とか「検査をして下さい」とかいう目的で医療機関を用いるのは、かなり非社会的な行為です。
 
インフルエンザっぽい人は他人にインフルエンザをうつすリスクがあります。
健康な人のインフルエンザは休養で寛解します。特にワクチンを接種していれば症状も軽くなります。
医療機関への受診はより医療機関を必要とする人々の邪魔になるだけでなく、医療機関にはインフルエンザ感染が致命的になる免疫の低下した患者がいます。その人々にうつすリスクがあります。
もしインフルエンザっぽいけどインフルエンザじゃなかった場合には、医療機関でインフルエンザをもらう場合もあります。
おそらくこのつまらないルールのおかげで、インフルエンザ流行時にいたずらに医療機関を訪れ、インフルエンザに感染する人々がやまほどいるのだろうと推測します。
インフルエンザっぽい以前に、頭が悪いっぽい行為なのです。

インフルエンザっぽいときに病院に行くのはかっこわるい

インフルエンザらしき症状や流行などの環境要因が一切ないのに、たまたま行なった検査が陽性だった場合は、当然、仕事を休むべきですが、休みたいがためにインフルエンザっぽくないのに流行中に医療機関へ行って、うつされたあげく検査は陰性だったことを思うと、最初から「インフルエンザで休みます」と言うほうが賢いでしょう。
 
「症候>検査」がインフルエンザ診断の根拠で、診断が正しいかどうかは関係ないのです。
正しい診断など、皆さんが期待するほど存在していません。
初診の誤診率が50%だったら、神と言える診断率です。
正しい診断がつく前に自然治癒する症状がほとんどです。
 
インフルエンザであろうがサボりであろうが、発熱であろうがデートであろうが、本人に働く意志がないものを強制的に労働させてはいけません。
たとえ労働基準法違反にならなくても、パワハラにならなくても、働く気がない人を働かせても生産性に寄与しません。
 
「休む理由」を尋ねる文化すらなくなればいいと思いますが、その場合も、「インフルエンザを疑った場合は解熱後3日間は就業禁止」というルールを浸透させる必要はあります。しかしルールよりノームです。
 
社会人としてはインフルエンザっぽい症状がある場合は自らの意志で、医療機関受診による感染拡大やより必要な患者の受診の妨げになることを避けるために自宅から外出しないのが、社会にとってはもちろん、本人にとっても最も有利な選択です。

「インフルエンザっぽいときは外出しない」というシンプルなノームを社会でつくりましょう。

どんな労働者にも集団免疫の話をすると非常に感心され、ワクチン接種の行動変容が増えます。人は誰でも自分が幸せになるより他人を幸せにすること、たった一人より大勢を幸せにすることで大きないきがい、健康、生産性を手に入れます。
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休みたいと言う社員をいくらでも休ませたら会社がつぶれる的な低レベルなことをいう経営者はこの世にいないと信じたいのですが、そのために就業規則や労働契約があります。労働基準法や安衛法のほうが上位なので、「強制労働の許可」や「病者の就業強制」は記せませんが、(有給)休暇についてのルールや勤怠の乱れによる処分については柔軟に設定できます。
勤怠の乱れそのものによって規定通りに対処するべきです。勤怠の乱れた理由が、休養を伴う治療によって復職可能な疾病だった場合には健保による傷病手当を利用できますので、粛々と手続きすればいいだけです。会社の合理的配慮や両立支援によって勤怠が整う際に医療的な助言を求める必要があるまで会社に診断書はいりません。
 
 
「診断書を持ってこい!」って命じてしまう人や、「診断書出された!」ってあわてる人は、診断書を一体、なんだと思っているのでしょう? 疾病の治療に必要な情報を医療機関同士でやりとりするための診療情報提供書には健康保険が適用されますが、会社に出す診断書はなんの治療的意味もなく、なんの法的拘束力もない自費の書類です。さらさらっと書いたら無責任にお金がもらえるので、私も書けと言われればほいほいいくらでも書きます。
 
診断書見たって、非医療者に共通言語がないんだから意味がありません。こんな場合、どうしたらいいですか?と質問されるほうが医者もやりやすいです。
がんの場合は保険も使えます。
実際のこの保険申請を病院に教えたら、たいへん喜ばれ、従業員はVIP扱いを受けられたそうです(笑)
 
多様な従業員が公正に扱われるためには、多様な従業員が理解でき実際に従うことのできるルールがなにより大切です。従業員を、インフルエンザの検査を行なうために医療機関に訪れさせないでください。その行為は真に診療の必要な人の命に関わるリソースを奪い、従業員を感染リスクや感染拡大の加害者にするリスクに曝します。会社の生産性も社会の生産性も同時に低下します。
 
医者が警鐘!なんてテレビでいろんなことが報道されていますが、私も医者です。

「インフルエンザっぽいのはインフルエンザと同じ」です。

確かめるプロセスは無駄。さっさと仕事してください。
どうしてもインフルエンザについてごちゃごちゃ言いたかったら、今から医者や科学者になって従業員が出勤前にセルフチェックできる侵襲がなく感度100%の検査を作ればいいでしょう。感度を100%にするためには特異度を譲りますから、きっとたくさんの合法的(?)インフルエンザ従業員のアブセンティーイズムが生じるでしょうね(*´艸`*)
 
 

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